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PrEP(プレップ)とは?HIV予防の効果や飲み方・検査を解説

HIV予防の新しい選択肢 その他

PrEP(プレップ)とは、HIVに感染していない方が感染リスクのある行為の前から抗HIV薬を服用し、HIVへの感染リスクを低減するための予防方法です。

HIV感染を予防するうえではPrEPの効果だけでなく、使用する医薬品や正しい飲み方、開始前と使用中に必要な検査、副作用なども理解しておくことが大切になります。

本記事では、PrEPの効果や使用される医薬品、飲み方、必要な検査、副作用について解説していくので、ぜひ参考にしてください。

PrEP(プレップ)とは

PrEP(プレップ)とは、Pre-Exposure Prophylaxisの略称で、日本語では曝露前予防と呼ばれるHIVの感染予防方法です。

HIVに感染していない方が、感染リスクのある行為より前から抗HIV薬を適切に服用することで、HIV感染リスクを低減します。

なお、PrEPという名前の特定の商品があるわけではなく、あくまでHIV感染を予防する方法そのものを指す名称です。

一方で、日常的な会話や医療情報では、PrEPに使用する医薬品自体をPrEPと呼ぶこともあるため、予防方法と医薬品の名称を混同しないように理解しておきましょう。

PrEP・PEP・HIV治療の違い

PrEP・PEP・HIV治療はいずれもHIVに関わる抗HIV薬を使用しますが、目的や開始するタイミング、対象となる方が異なります。

PrEPはHIVへの感染リスクが生じる前から行う予防、PEPは感染リスクのある行為の後に行う緊急的な予防、HIV治療は感染が確認された方に対して行う治療です。

項目PrEPPEPHIV治療
目的HIV感染の予防HIV感染の緊急予防HIVの増殖を抑える治療
開始するタイミング感染リスクが生じる前感染リスクが生じた後HIV感染が確認された後
対象者HIV陰性で感染リスクがある方HIV陰性で感染リスクのある行為があった方HIV感染が確認された方
使用方法継続的または決められた方法で服用医療者の指示に従って一定期間服用継続して抗HIV薬を服用

このように、3つは同じHIV対策でも役割が異なるため、自分の状況に合った方法を選ぶことが重要になります。

とくに感染リスクのある行為がすでにあった場合はPrEPではなくPEPが検討されるため、早めに医療機関へ相談しましょう。

PrEPにはどのくらいのHIV予防効果がある?

PrEPは、決められた方法で適切に服用することで高いHIV感染予防効果が得られる方法です。

性行為によるHIV感染については、PrEPを正しく服用することで感染リスクを約99%低減するとされています。

一方で、服用を忘れたり決められた方法を守らなかったりすると、十分な予防効果が得られにくくなるため注意が必要でしょう。

また、PrEPを使用していてもHIV感染を100%防げるわけではないため、医療者の指示に従って適切な服用を続けることが大切です。

PrEPが推奨される人

PrEPは、HIVに感染していない方のうち、日常的にHIVへの感染リスクがある場合に検討される予防方法です。

たとえば、パートナーがHIV陽性で治療によるウイルス抑制が確認できていない場合や、性行為の際にコンドームを使用しないことがある方、過去に梅毒や淋菌感染症などの性感染症にかかったことがある方などが対象として挙げられます。

ただし、PrEPを開始するには、あらかじめHIV検査を受けて陰性であることを確認する必要があります。

HIVへの感染リスクは性行為の状況やパートナーとの関係によって異なるため、自分にPrEPが必要か迷う場合は医療者へ相談し、検査結果も踏まえて検討しましょう。

PrEPに使用される薬

PrEPには、主にTDF/FTCやTAF/FTCなど、HIVの増殖を抑える抗HIV薬が使用されます。

ただし、これらは成分や使用できる対象者、対応するPrEPの方法が同じではなく、国内でPrEPとして承認されているかどうかも医薬品ごとに異なります。

そのため、PrEPに使用される医薬品をまとめて同じものとして考えず、それぞれの特徴や適応を確認することが大切です。

ツルバダ(TDF/FTC)

ツルバダは、エムトリシタビン(FTC)とテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩(TDF)の2つの有効成分を配合した抗HIV薬です。

もともとHIV-1感染症の治療に使用されており、治療目的では他の抗HIV薬と併用してHIVの増殖を抑えます。

日本では2024年8月にHIV-1感染症の曝露前予防(PrEP)としても承認され、HIVに感染していない方の感染予防に使用できるようになりました。

PrEPとして使用する場合は、HIV陰性であることを検査で確認したうえで、医療者の指示に従って適切に服用することが重要です。

その他のPrEPに使用される薬

PrEPには、TDF/FTC以外にTAF/FTCを配合したデシコビなどが使用されることもあります。

TAFはTDFと同じテノホビル系の成分ですが、使用できる対象者や服用方法などに違いがあるため、TDF/FTCと同じ条件で使用できるわけではありません。

また、日本ではデシコビがHIV-1感染症の治療用として承認されていますが、PrEPとしての適応は承認されていないため、国内での承認状況にも注意が必要です。

TDF/FTCには同じ有効成分を含むジェネリック医薬品もありますが、製品ごとに適応や使用方法を確認し、医療者の指示に従って使用しましょう。

PrEPの飲み方は2種類

PrEPの飲み方には、毎日服用するデイリーPrEPと、性行為の前後に決められたスケジュールで服用するオンデマンドPrEPの2種類があります。

ただし、どちらの方法を利用できるかは、使用する医薬品や性別、身体状況などによって異なるため、すべての方が自由に選べるわけではありません。

適切な予防効果を得るためにも、自己判断で服用方法を決めず、医療者に相談したうえで自分に合った方法を選びましょう。

日本でPrEPの適応が承認されているツルバダの用法は1日1回1錠であり、オンデマンドPrEPとは異なります。

デイリーPrEP

デイリーPrEPについて

デイリーPrEPは、HIV感染リスクのある行為がある日だけではなく、原則として毎日決められた時間に継続して抗HIV薬を服用する方法です。

体内の有効成分の濃度を一定に保ちやすいため、性行為の予定を細かく予測しなくても予防を続けやすく、幅広い対象者に用いられる標準的なPrEPの方法といえるでしょう。

十分な予防効果を得るには継続した服用が重要になるため、飲み忘れが続いた場合や服用を中断したい場合は自己判断で対応せず、医療者へ相談してください。

オンデマンドPrEP

オンデマンドPrEPは、性行為の前後に決められたスケジュールで抗HIV薬を服用し、HIV感染を予防する方法です。

毎日継続して服用するデイリーPrEPとは異なり、性行為の予定に合わせて服用しますが、利用できる対象者や医薬品には条件があります。

また、慢性B型肝炎がある方などでは適さないことがあるため、身体の状態を確認せずに自己判断で開始することは避けましょう。

服用するタイミングや回数を守ることも予防効果を得るうえで重要になるため、オンデマンドPrEPを検討する場合は、医療者に相談して自分が対象となるか確認してください。

PrEPを始める前・使用中に必要な検査

検査+PrEPについて

PrEPは、抗HIV薬を入手して服用するだけではなく、開始前と使用中に必要な検査を受けながら続けることが重要です。

開始前にはHIVに感染していないことを確認するほか、B型肝炎の感染状況や腎機能を調べ、使用する医薬品を安全に服用できる状態か確認します。

また、PrEPではHIV以外の性感染症を予防できないため、梅毒や淋菌、クラミジアなどについても定期的な検査が必要になるでしょう。

安全にPrEPを継続するためにも、どのような検査が必要になるのかをあらかじめ理解しておきましょう。

HIV検査

PrEPを開始する前には、HIV検査を受けて陰性であることを確認する必要があります。

PrEPはHIVに感染していない方を対象とした予防方法であり、すでに感染している状態では、PrEPで用いる抗HIV薬だけでは十分な治療になりません。

そのまま服用を続けると、HIVが医薬品の効果を受けにくくなる薬剤耐性が生じるリスクがあるため注意が必要です。

また、PrEPの使用中も定期的にHIV検査を受け、感染していないことを確認しながら継続することが大切でしょう。

安全にPrEPを続けるためにも、開始前だけでなく使用中のHIV検査も欠かさず受けてください。

B型肝炎・腎機能などの検査

TDF/FTCなどを使用する場合は、PrEPを始める前にB型肝炎の感染状況や腎機能を確認する必要があります。

TDFには腎機能へ影響を与えることがあるため、血液検査などで腎臓の状態を確認し、使用を続けても問題がないか判断します。

また、TDF/FTCはB型肝炎ウイルスにも作用するため、B型肝炎に感染している方が自己判断で服用を中止すると、肝炎が悪化するおそれがある点にも注意が必要です。

さらに、PrEPはHIV以外の性感染症を予防するものではないため、梅毒や淋菌、クラミジアなどについても定期的な検査が推奨されています。

安全にPrEPを続けるためにも、開始前だけでなく使用中も必要な検査を受け、身体の状態を確認しながら継続しましょう。

PrEPの副作用と注意点

PrEPでは、使用する抗HIV薬によって、吐き気や腹痛、下痢、頭痛などの副作用がみられることがあります。

これらは服用を始めた時期に現れる比較的短期的な症状として知られていますが、強い症状が続く場合は医療者へ相談しましょう。

また、TDF/FTCなどの抗HIV薬では腎機能への影響がみられることがあり、長期間使用する場合は骨密度への影響にも注意が必要です。

そのため、開始前だけでなく使用中も定期的に検査を受け、身体の状態を確認しながら継続することが大切になります。

PrEPは決められた方法で服用することで十分な予防効果を得やすくなるため、飲み忘れが続いた場合に自己判断で服用量を変更したり、開始や中止の時期を決めたりしないでください。

また、HIVへの感染を確認しないままPrEPのみを継続すると薬剤耐性につながるおそれがあるため、定期的なHIV検査を受けながら医療者の指示に従って使用しましょう。

PrEPではHIV以外の性感染症は予防できない

HIV予防+性感染症対策について

PrEPで予防できるのはHIVへの感染であり、梅毒や淋菌、クラミジアなど、HIV以外の性感染症を防ぐ効果はありません。

そのため、PrEPを使用している場合でも、性感染症全般への対策が不要になるわけではない点を理解しておく必要があります。

とくに、コンドームはHIV以外の性感染症の感染リスクを下げるためにも重要な予防方法です。

また、性感染症には症状が現れないこともあるため、感染リスクがある場合は定期的に検査を受けることも大切でしょう。

PrEPだけに頼らず、コンドームの使用や定期検査を組み合わせながら、HIV以外の性感染症も含めて予防していきましょう。

PrEPの入手方法

PrEPは、PrEPを取り扱う医療機関やオンライン診療などを通じて入手できます。

医療機関では、HIV検査や腎機能などの必要な検査を受けたうえで、身体の状態や感染リスクに応じた抗HIV薬が処方されます。

また、PrEPに使用される抗HIV薬には複数の種類があり、成分や国内承認状況、使用方法が異なります。

使用を検討する際は、それぞれの特徴を確認したうえで、医療者へ相談することが大切です。

PrEPやHIV治療に使用される医薬品の種類・成分・価格を確認したい方は、HIV治療薬の商品一覧をご覧ください。

PrEPに関するよくある質問

ここでは、PrEPに関してよくある質問と回答をまとめているので、正しく理解するための参考にしてください。

PrEPを使用すればHIV感染を100%予防できますか?

PrEPは適切に使用することでHIV感染リスクを大きく低減できますが、100%予防できるわけではありません。


コンドームの使用や定期的なHIV・性感染症検査など、他の予防方法と組み合わせることが重要です。

PrEPを始める前にHIV検査は必要ですか?

HIV検査は必要です。


PrEPはHIV陰性の人を対象とした予防方法のため、開始前にHIV陰性であることを確認します。

使用中も定期的なHIV検査や腎機能などの確認が必要となります。

PrEPは日本でも使用できますか?

日本でもPrEPは利用されています。


日本エイズ学会などから利用の手引きが公開されており、PrEPについて相談・診療を受けられる医療機関も案内されています。

使用する薬によって国内承認状況が異なるため、薬剤ごとの確認が必要です。

参考サイト

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